最新リタイアメントプランニング事情

08年デジハリ・マネーカフェ・団塊サポート3社共催新春セミナー風景

第3回 日本社会とライフプランニング

 100歳以上の人口が3万人を超えた今日、高齢者に関する各国の実例は非常に参考になります。

ショートステイも老人施設等においては日本でも広く普及してきましたが、「家庭入所」という言葉はあまり聞きなれない人が多いのではないでしょうか。

これはフランスにおける制度で、報酬を受け取って孤児を育てる「里子」の制度を高齢者対象にリメイクしたもので、一般家庭が有料で高齢者をホームステイさせる、いわば「里老人」システムのイメージです。

日本では老老介護と揶揄される、長寿化による高齢者相互間の自助扶養(介護)形態のような「暗い」イメージがつきまといますが、ちょっと視点を変えて考えてみると、案外このような仕組みが定着するのかもしれません。

つまり、若い人を対象に「里親」を募集すれば、年金の根本思想と同様、世代間扶養が成り立つのではないでしょうか。

「ワークライフバランス」という概念が論じられていますが、そもそも欧米の慣習としての「老いては働かず」という思想を打破すべく、生涯労働と生活安定の実現をスローガンに広げようとしたものであり、日本では逆に生きがいとしての余暇づくりとのバランスに重点を置いているようです。

つまり、シニアやセカンドライフに対しての提言ではなく、働き盛りの労働者全般について職域や地縁を通じての生涯型社会参画活動の推進事業、とも言うべき制度のようです。

これは、あくせくとした高度経済成長時代の悪癖を払拭し、仕事のみならず、生活全体を考えた一生におけるバランスを重んじることを意味し、まさしくライフプランニングの要諦とも言える考え方でもあります。

以前にアメリカのボランティア活動について触れましたが、欧米でもこの傾向は例外ではありません。

例えばイギリスにおいても高齢者はボランティア活動に対して重要な役割を担っています。高齢者がボランティア活動に費やす時間は、国民平均が2.7時間/週に対して5.2時間/週と約2倍に達しており、この傾向は年々増加の一途を辿っているようです。

イギリスではボランティアに対応するNPOが多数組織されていることも大きく影響しているようですので、最近日本でも活動が活発化してきたNPOに対しては、今後共、多いに期待されるところでしょう。

いずれにせよ、我々日本人にも漸く「働く」ことの意義と「生活」に対する捉え方、「家族」「社会」とのかかわり等について真剣に考え、また、自分自身の生き方を実現しようと考えた時に、実現可能な環境(社会的合意と経済的裏付け)が整ってきたことによって、いよいよ本格的なライフプランニングが行える、いや、行わなければならない「時」が訪れているのではないでしょうか。(続く)

 



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