生きがい挑戦 グラスアートラン栽培

アトリエでグラスアートを制作する木村さん

蘭栽培家・グラスアート作家 木村昌己さん

 「蘭の中でも、カトレアの原種の持つ、その神秘的な美しさにのめり込んでいきました」「創造性ストーリー性が無いグラスアートは創りたくないですね。感動が生まれないから!」「趣味は私の生きがいです!趣味が無かったら、つまらない生涯だと思いますね」と語る木村昌己さん。
 どうも、木村さんは、「趣味に生きたり、趣味を極めたりできる人」の典型らしい。趣味に徹する木村さんの生きがい人生に迫ってみた。

うちにいてやれる、何か面白いものはないか?

木村さんの温室で咲く白い蘭 埼玉県本庄市で、温室の手入れや庭造りに余念がなく、難儀と思われる蘭栽培を生きがいの一つとする木村昌己さんの若いころの趣味は、もっぱら音楽やスポーツだった。高専時代のクラリネット奏者をかわきりに、24歳のころの若いサラリーマン時代には、友人の結婚式などで、当時では珍しい男性のエレクトーン奏者として活躍。29歳のころ、結婚直前にはバンドを結成し、ドラムを担当していた。

 また、木村さんはスポーツでも活躍。学生時代から陸上の短距離の選手、勤めてからはゴルフ、ソフトボールなどに情熱を燃やした。ソフトボールにいたっては、審判の資格まで取り、休日など朝から晩まで子供たちの練習試合などに付き合った。

木村さんが多趣味で器用なのも、地元の埼玉県本庄市とお隣の群馬県伊勢崎市との間をゆったりと流れる利根川で、小学生時代から泳ぎ、河原で駆け回るなど、大自然の中での自由気ままな遊びが大きく影響している。

竹とんぼなどを作る時のナイフの扱い方など、地元のガキ大将から当たり前のごとく教わるなど、昔のいい時代の子供たちに共通な、手先が器用で感性の鋭い子供として育ったからだ。

結婚後の木村さんは、外での遊びはほとんどしなかった。その理由は、それまで外での遊びのほとんどを経験し、あらためて外で遊ぶ必要もなく、結婚を機に、最愛の奥様と家族に「寂しい思いをさせないようにしてきました」と語る木村さん。
木村さんの温室で咲く斑ピンクの蘭 
「うちにいてやれる、何か面白いものはないか?」と探していた時、近くの親戚のお婆さんが、蘭の一種であるシンビジュームを栽培しているのを目にした。

瞬間「これだ!」と心に決めた。たまたま開催されていた熊谷農業高校の文化祭に出かけた折、生徒たちが販売していた蘭の一種である、カトレアの株を一株買った。

その一株のカトレアを何とか育て上げ、翌年にみごとな花を咲かせたことが、木村さんの大きな自信となり、35年間も続いている蘭栽培の世界にのめり込むきっかけとなった。



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